土佐日記(嘘)

若者もすなる、はてぶ(ろ)といふものを、ばばあもしてみむとて、するなり

ロマンティック省エネモードからの昔の話

自分のスタンスが、省エネモードだって、話をエントリーしようとして、スタンスを書いてたはずなのにいつの間にか、昔の推しへの話に変わってしまっていたので、省エネモードの話は今度にして、自分の昇華のための昔話を書くよ!
あまりにありのまま書いてしまうとアレな箇所もあるのでただのばばあの昔話だと思ってネ。

 
むかーしむかし、若手俳優とは全くかけ離れた界隈で、とてもとても大好きな推しがいました。(その界隈では推しとは言わないが、面倒なので推しと言っておく。)


推しは年上で、まぁ一応その業界でご飯を食べている人だったと思うけど、マイナーなジャンルだったのでファンは本当に少なかった。
そして、私は覚えてる。初めて推しの待ちをした日、推しが綺麗に着飾ったお姉さん達に囲まれていた姿を・・・・。
お姉さんたち推しは気さくに話し、綺麗に着飾ったお姉さんの一部は、プレゼントを渡してた。その日は本当に見てるだけで終わり、今後、推しの待ちはしないって決めた。だって、推しの周りのお姉さんたち推しってあの光景が恐ろしかったから。
それでも待ちはしないと決めたが、推しの現場にはチマチマと入り、地味に手紙やプレゼントを持っていった。手紙の返事は時々、くれた。

ある日、推しが出ると予想していた現場だったのに、推しだけがいないという事態が発生した。でも推しの次の現場は分からなかった。今ほど、情報が溢れていない時代だし、推しファンの友だちなんていない私は推しのその後を見つけられずに、結局は諦めた。
でも、諦めたくせに凄い落ちた。自分でもびっくりするくらい、傷が大きかった。それでも、もう見つからないからしょうがないと、推しが見られなくなった傷を別のコンテンツ()でジワジワと癒し、少し経った頃、ひょんなことから推しが出る現場を見つけた。ほんとうに偶然でしかも現場は直前だった。
「本当に出るの?」とたくさんの不安を抱えながらも、手紙を書いてプレゼントを持って現場に行くと、そこには推しがいた。絶対、推しを見に来た人は私しかいなかった。
しかも、その日は偶然、推しと入口で遭ったので、思わず、推しにプレゼントと手紙を渡してしまった。キョトンとした顔をされて、渡してから何してるんだろ・・・って自己嫌悪したけど、のちにその時渡した手紙の返事が届いて「名前に見覚えあるよ!久しぶり!」って書いてあって、少しだけ気持ちが救われた。だって、知らない人にいきなり「これ・・・」って渡されたらキツイよね?


その後、何回か推しファンが私しかいない現場が続いた。たぶん、告知がほぼなかったので他のファンは気付かなかったのだと思うけれど、真相は分からない。
周りに推しのファンがいないというのは、感じ方によっては、おいしい現場だったのかもしれないけれど、待ちをしようとは思わなかった。推しを見る時もなるべく遠くから離れたところで見てた。自分から距離を取っていたつもりだったけど、なぜか推しと現場付近でよく遭遇してしまった。直接、顔を見てしまったら、結局手に持ってるものを渡して少し喋ることになる。いつのまにか名前も呼ばれるようになった。だけど、私はあまりうれしくなかった。
正直、推しと話をすることに抵抗感があった。当時は、その抵抗感の原因がよくわからなかったけど、なんとなくこういうことかな?という自分の気持ちは以下の通り。

1.私は応援してる側なので、なんか凄い話すのってどうよ?名前をナチュラルに呼ぶのってどうよ。私はあなたの友達でもなんでもないよ~。

2.気軽に話しちゃうと勘違いしちゃうかもしれない自分への自衛かも

さて、そんな風にいつのまにか、推しに名前と顔を覚えてもらい、推しファンが私しかいないという謎現場をいくつか経たあと、新たな推しの現場が決まった。今度は結構、告知されていたので、私以外のファンもいた。しかし、新しい現場の傾向が私は好きじゃなく、現場も相変わらず関東中心で行くのが大変だった。(あ、今更だけどばばあは地方の民です。)
加えて、当時は推し以外にも興味あることができたので、推しだけの為に頻繁に関東行くっていうモチベーションがもう保てなくて、現場へ入る回数はぐんと減った。

 

このままフェードアウトなんじゃないかなって思い始めていたら、推しの新しい現場が決まった。相変わらず私の好きじゃない傾向の現場だったけど、現場の中には関西もあって、それならまだ行きやすいからいいか。とその現場に入ってみた。
好きな傾向の現場ではないとはいえ、目の前でライトを浴びてる推しは私にとって最高だった。そして推しを久々に堪能した私は、何を思ったか、プレゼント直接渡したい。と思ってしまって推しが出てくるのを待ってしまった。あれだけ、抵抗感あったくせにね。人間ってよくわからない。
だけど、その思い付きは後悔することになる。推しが出てきて私に見えた光景は、昔見たように着飾ったお姉さんたちが数人いて推しを囲むというものだった。あぁ、そうだ。これこれ。推しの現場ってこうだったわ。となった。あの告知がほぼなくて推しファンがいない現場は偶然で、これが推しの現場なんだ。って。
しかし、時間を費やして待ってしまったものだから、プレゼントと手紙を持って帰るのだけは癪だったので、引くに引けず、サッと隙をついて、推しに声かけて「これ・・・・」ってプレゼントと手紙を渡すと推しは一瞬、「え?」って顔した。きっと忘れられていたのだろう。
でもすぐに、「久しぶり●●ちゃん。」って言われた。忘れられていると思ったのに、名前呼ばれるのは予想外すぎてびっくりした。
そして、推しが更に話を続けてこようとした時に、お姉さんたちの視線が突き刺さったような気がした。私は「あ、お疲れ様です。時間ないから帰りますね。」と逃げるように帰った。
帰りの電車の中で、お姉さんたちの視線を思い出すと気持ちはどす黒くなったけど、推しのことを思い出すと、やっぱり好きだなって思って、以前のようにチマチマと現場に入りはじめた。極力、関東以外に入った。
関東以外に入る理由は地方になると更に動員は少なくなる。ならば、少しでも埋まれば・・・・というのは割と建前で、推しのファンとかち合わないことを狙った。でも、この狙いはあまり上手くは回らなかった。推しのファンは少数精鋭の選ばれしエリートだった。みんな財力半端ないから地方毎回いるのよ。多少、人数に変動はあったけど。

 

そうこうして、地方の現場も終わりかけの頃、推しが出てくるのが早かった日があった。別に待ってた訳でもないけど、例の光景があった。私はもうその時、手紙もプレゼントも運営に預けてしまっていたので、とおりすぎて帰ろうと思ったのに、つい推しを見てしまったから、目があった。そしたら、推しは輪をスルスルと抜けて、私の名前を呼んだ。
呼ばれたら無視するわけにもいかなかったので、私は足を止めた。推しお姉さんたちに背を向けて、私にいろいろと話しかけてくるけど、その言葉が頭にあまり入ってこなかった。推しの後ろから向けられるお姉さん方の鋭い眼差しが恐怖だった。
心の中では「いいよ。いいよ。私は別に推しと話したいことなんて特にないから!いいから戻って戻って。」ってずっと思ってた。そういうことが現場で何度か続いた。

推しの現場が苦しくなって、自分も感情をこじらせてしまった。ファンのことばっかり考えるようになって、なぜ私はあの人が好きなんだろう。ってぐるぐる考えて、しんどいなって思いながらもそれでも推しが好きだからって思いこんでずるずる行ってたけど、ある日、行くのを辞めることを決意した。

 
それは、推しには、次の現場も行くねと伝えていたのに諸事情で行けなくなったことがあり、私はなぜか律儀に「次行くと前に書いたけど、暫く現場に行けないと思うのでごめんね。ずっと行かなくなったら死んだと思って(笑)」と冗談めかして手紙を書き、
予告通り、何回か現場を飛ばして入った日だった。
たまたま推しに遭遇した。本当に死んだかと思ったと言われた。かなり心配された。
心配されたことは少しうれしかったけど、でも推しが私が書いた手紙のこと覚えてると思うと気持ち悪いとも思った。その時、なんかもう駄目だなって思った。
何事も推しに関してはネガティブな考えしかなかった。その日、推しを現場で見ても好きって思えなかった。だから、行くのやめた。

 

自分でもあっけなかったなと思う。この推しに関しては、かなり長く応援してた。でも、私の中であっけなく終わった。
正直、今も推しの状況だけはたまに確認する。でも、現場には行ってないし、行こうとは思わない。暫く、あの界隈に行くこともないだろうから、私が自ら望まなければ、この先、生身の彼を見ることは一生ないだろう。そして彼には私という存在を忘れてほしいと思う。


 
まぁ、これはあくまで昔話なので、今後はきっとこういうこともあり得ないし、ばばあは若者たちを遠くから眺めておくね。

 

さぁ、ばばあの気持ちは昇華されたので、めでたし。めでたし。